青色の怪獣遣いになりたくて

怪獣とおんなのこの夢をみている

パニエ@フルーツピークス

私の父は果物の産地に生まれ、勤務地も名産果実があるようなところが多い人で、私の母は果物が好きな人である。

そういう訳で、私は幼少期からわりと贅沢に、潤沢に果物を食べて人生を歩んできた。
冬場にはみかんやタンカン、りんご、出始めればいちご、さくらんぼ、桃、夏から秋にかけてはぶどう、マンゴー、すもも、梨、柿、洋梨、年間を通してバナナやキウイ、たまにグレープフルーツ、ブルーベリー。加工して、というよりはそのまま、あるいは冷やして切って出すスタイルで、よくも毎日家に果物があったなぁとしみじみする。

 

父の今の勤務地は福島である。私は一度しか行ったことがない。
駅前はそこそこにぎやかだったし、会津須賀川や大内宿といった観光名所もとても良かった。駅ビルに入っていた、きれいなフルーツのケーキを並べていた店が印象に残っていて、次に行くときはあのケーキを食べたいとずっと思っていた。

 

今年の夏、父が帰省のおみやげに、そのケーキ屋のフルーツゼリーを買ってきた。
お店はフルーツピークスという名前で、実は東京にも店舗があるということをその時に知った。もちろん、だからといって、父のお土産の価値が損なわれることはない。
http://fruitspeaks.jp

 

フルーツピークスで扱っているフルーツゼリーは2種類あるが、父が買ってきたのはケーキのような三角形の「パニエ」のほうだった。梨とマスカット、そしてフルーツミックスのもの。
私はそこまで断面フェチという訳ではないが、果物のみずみずしい色彩がまぶしい!透明なゼリーと白いバニラムースの層がまたいい。キャンバスみたいだ。味のほうも申し分なく、果実のフレッシュさや甘さ、酸味が感じられる。ゼリーの甘さが控えめでするする食べられるのが嬉しい。福島は日本に数ある果物の王国のひとつなのだ、ということを改めて実感する。

 

父がそのとき帰省した理由の一つは、私の婚姻届の証人欄にサインをするためだった。
単身赴任が長かった父、そして対照的に私とずっと一緒に暮らした母は、私と離れることをどう思っていたのだろう。
結婚したからといって親子でなくなるわけでもなく、日常も人生も続いていく。特に私は実家からすごく遠いところに住むわけでもない。それでも、さびしさは密やかに、影のようにつきまとう。うれしいこと、めでたいこと、その足元にはさびしさやかなしみがそっとついて回っている。でもそれは、決して悪いことではないように思う。その影に縋りつきたいときや、日差しに背を向けたいときがある。

 

書いていてなんだか涙が出そうになるので、このへんで。個人的な思い出ばかりいつも書いているブログですけど。

 

近頃は、私が果物を配偶者と食べるために買う。皮を剥いたり剥かれたりして、両親のことを思う。
たくさんの果物をありがとう、こんなに育ててくれてありがとう。

 

次回予告

何度も食べているおめでたいお菓子